InterviewCorporate Planning
「採用は、会社の意思表示だ。」 選考で見ているものを話します
穴沢 広夢

Profile
穴沢 広夢
- 職種
- CHRO
- 事業
- Corporate Planning
(経営企画)
早稲田大学卒業後、株式会社リクルート、RIZAPグループを経て現職。リクルートではFP&Aとして事業計画の策定から予実管理までを担当。RIZAPグループでは最年少役員として、事業成長を支える組織づくりを牽引した。人材の採用・育成と事業成長を接続する視点を強みとし、AIセキュリティ株式会社では採用チャネルの設計から評価制度の運用までを担当し、組織開発とコーポレートブランディングをリードしている。
会計から事業へ、そして人事へ
経歴と、いま管掌している範囲を教えてください。
もともと在籍していたのはリクルートです。入ったのはFP&A(Financial Planning & Analysis)で、もともと会計寄りのバックグラウンドだったこともあり、数字を見る仕事から始めました。その後、事業側に移っています。
次に移ったのがRIZAPグループです。ここでもまず経営管理・経営企画から入り、その後は広告の媒体事業、広告代理店・コンサルティング事業の立ち上げを担当しました。RIZAPグループはtoCのビジネスが中心だと思われがちですが、法人向けの事業も7つあり、最終的にはそこを管掌する本部長を務めています。グループの最年少で役員にもなりました。
そのあと、人材の領域にもう一度身を置きたいと考えて、コンサルティング業界の転職支援を手がける人材紹介会社に移りました。マーケティング部門のマネージャーと、事業サイドのブランドのマネージャーを兼務し、コンサルタントの転職支援に携わっていました。
現在はCHROとして人事を見ているのが中心です。加えて、マーケティング・広報・採用の領域を担う部門の本部長を務めています。

「自分は、誰の挑戦を支えたいのか」
なぜ、この会社でCHROを引き受けたのですか。
もともと、人の挑戦をサポートしたい、人の「変わりたい」という思いに寄り添いたいという気持ちが強くありました。リクルートでやっていたのは人と仕事のマッチングですし、RIZAPでやっていたのは「人は変われる」ことを証明する事業です。前職の人材紹介会社も、最高の仕事が最高の人生をつくる、という考え方の会社でした。振り返ると、人の挑戦を応援する領域にずっと関わってきています。
当社はMissionに「挑戦保障」を掲げています。会社として魅力的だと感じていた一方で、「では自分は、誰の挑戦を支えたいんだっけ」と考えました。サービスを通じて社外の方の挑戦を支えたいという思いも、もちろんあります。ただ、人事という立場で自社の従業員の挑戦を支えることにも、強く関わりたいと思ったんです。Mission・Vision・Valueの策定には人事として深く関わりましたが、そこで言葉にしたことを、まず社内で実現したい。これが引き受けたいちばんの理由です。
もう1つあります。セキュリティの領域は、需要と供給のバランスで見ると明らかに需要のほうが多く、供給が追いついていません。では、この領域で勝ち切るうえでいちばんの決め手は何かと考えると、間違いなく人材の供給力です。そして、その供給力の源泉になるのが人事の領域だと思っています。事業への貢献度という意味でも重要ですし、前職でコンサルティング業界の転職支援のマーケティングと採用を見ていた経験、それ以前の経験もそのまま生きる。自分が貢献できそうだという感覚も含めて、総合的に決めました。
良いところと、まだできていないところ
外から見て、この会社の何が良くて、何がまだ課題ですか。
良いところは、まず事業の戦略です。2021年9月の創業で、まだ間もない会社ですが、足元の実績を見ても、この事業の伸びは本物だと感じています。計画だけを見て言っているのではありません。
もう1つは、経営陣が比較的若いことです。CXOは全員が20代後半から30代です。ただ、若くて勢いがあるだけの会社ではありません。しっかりとした専門性を持ったミドル・シニアの方々が、私たちの思いに共感して加わってくださっていて、その力を借りながらバランスよく経営できています。
具体的に挙げると、アクセンチュアでMD(マネジング・ディレクター)を務めた前田氏(Head of Account Sales)、KPMGでパートナーを務めた河北Partner、ZscalerでTACマネージャーを務めた江口氏(ゼロトラスト推進事業部 事業部長)、Splunkでプロフェッショナルサービスの責任者を務めた渡辺氏(Principal・Splunkユニット ユニット長)といった面々です。
顧問の方々も同じです。顧問という関わり方は、会社によって関与の度合いが大きく変わると思いますが、当社の顧問は経営そのものにも、あらゆる観点で深く関わってくださっています。コミュニケーションの接点も非常に多い。しかも、事業会社の出身で発注する側の気持ちがわかる方、コンサルティングファームの出身で当社の立場がわかる方、人材の領域で会社を立ち上げた方と、当社の強みである「発注側の理解」「コンサルティング」「人材の供給力」が、そのまま顧問の布陣になっています。
一方、課題です。制度や教育体系といったところは、まだ出来上がっていません。未成熟な部分は確実にあります。
ただ、裏を返せば、それを作る機会がいま非常に多いということでもあります。決まっていない、ある種カオスな状況を楽しめて、一緒に会社を作っていきたいという方にとっては、とても良い環境だと思います。課題は全然ありますけれど、そこに面白さを感じてくれる人にこそ、入っていただきたいと思っています。

テリトリーが広い人が、多い組織に
どういう組織を作ろうとしていますか。
最終的には、自分のテリトリーが広い人たちが多い組織にしたいと思っています。部門間の連携が活発に行われ、全体最適で動ける組織です。
先ほど、人材の供給力が当社の重点戦略の1つになると申し上げました。これを紐解くと、たとえば正社員として働きたい方もいれば、フリーランスとして働きたい方もいます。一般的な会社だと、人材紹介をやっているから正社員志向の方には支援ができるけれど、フリーランス志向の方にはなかなか応えられない、ということが起こると思います。当社はHC(ヒューマンキャピタル事業。人材紹介)もTS(タレントソリューション事業。SES・フリーランス)も持っているので、会社としてはどちらのニーズにも応えられます。
ただ、想像していただきたいのですが、自分のところに来たお客様を他部門に紹介することを、本当に活発にできるでしょうか。自分の成果の優先順位を考えて、後回しにしてしまうことはあると思うんです。
国が出している数字では、セキュリティの専門人材が11万人ほど不足しているとされています。セキュリティ人材が足りないというのは、言い換えれば、挑戦していく人たちを支える人材が足りないということです。これは国の課題だと思っています。
だからこそ、部門間で連携していきたい。他部門への紹介は、正直に言えば自分の成果にはなりません。それでも、一歩引いて見れば全体最適になり、会社のためになります。そういう視点で動けて、自発的に助け合いが生まれていく。そんな文化と組織を作っていきたいと思っています。
採用は、会社の意思表示だ
採用でいちばん大事にしていることは何ですか。
採用は、会社の意思表示だと思っています。そのうえで、いちばん大事にしているのは透明性です。
あえて、採用サイトや採用の資料に、当社の整っていない部分や弱み、それから「求めていない人」まで明記しています。
セキュリティの領域は人材が不足していますから、正直なところ、良い表現をして魅力を感じていただきたいという気持ちはあります。ただ、そうやって入っていただいた後のミスマッチは、当社にとってもそうですし、人生の非常に大事な意思決定をして入社してくださった方にとっても、双方が消耗するアンハッピーなことです。
だから、まず私たちのほうから意思表示をする。その内容を見て「いいな」と思ってくださった方に入っていただきたい。思いを先に伝えることは、大事にしています。
選考で見ているのは、過去に取った行動です
選考で見ているポイントを、話せる範囲で教えてください。
基本的には、当社がValueとして定めている8原則に合うかどうかを見ています。
なかでも重要視しているのが、8原則の1つであるNo "Not My Job" です。自分のテリトリーを広く持ち、「この仕事は自分の仕事ではないので」というのはやめましょう、という考え方です。先ほどお話しした部門間の連携もそうですし、当社は通常よりも速い拡大を目指しているので、「この仕事はこの部門の仕事だよね」とはっきり分けて定義できない部分が、今後も出てくると思います。
そういうときに、お互いにお見合いをして誰も手をつけないままにしてしまうのではなく、「役割は決まっていないけれど、会社のことを考えたらやったほうがいいよね」と自発的に声を上げて、最初に動ける。そういう方が、いちばん良いと思っています。
その前段として、もう1つ申し上げておきたいことがあります。
選考では、一般論を聞いていません。「こういうときにどう感じますか」といった問いに対するいわゆる「綺麗な答え」は、まったく見ていないんです。
理由は、そうすると話がうまい人が通ってしまうからです。私たちが見たいのは、あくまでも過去のご経験です。面接でお伺いしているのは過去の実体験で、そこに着目して評価したいと考えています。

面接でよくある「もったいない」パターン
面接でよくある「もったいない」パターンはありますか。
大きく2つあります。1つ目は、面接の型に合わせて答えを整えてくださるパターンです。 どこまでいっても、知りたいのは「どんな行動をしてきたのか」です。
それがそのまま、当社に入っていただいて実際にご一緒したときにどんな行動を取られるのか、に繋がると考えています。
ですので、面接の場を意識して答えを整えていただくよりも、これまでのご経験や、そこで感じたことを素直にお話しいただけるほうが断然実務上でのイメージが湧きます。
そうなると、ミスマッチは自ずと減っていきます。
「型に合わせた答え」とは、具体的にはどういう回答でしょうか。
たとえば「初対面の方から信頼を得るためにどう動きますか」とお聞きしたとします。
「相手との共通点を見つけるようにしています」というお答えは、よくいただきます。
それ自体は間違いではなく、素晴らしい考え方です。ただ、どなたでも同じようにお答えできてしまう内容なので、その方らしさが見えにくいと感じます。
お聞きしたいのは、たとえばこういうお話です。「実は過去、関係構築に悩んだお客様がいて、かなり悩んだ。暗中模索だったが、こう動いてみた。手応えを感じて次にこういったアクションを取ったところ、心を開いてくれた」。
こういったお話の方が、はるかにイメージが湧きますし、その方らしさが出てきます。
言いにくい話もあるとは思いますが、これまでのご経験やご実績を、ありのままにお話しいただけるとうれしいです。それが結果として、相互理解を深めると思っています。
2つ目は何でしょうか。
当社に対する質問があまりない、というのはもったいないと思っています。
面接という場には、会社側が候補者のことを見極める時間だというニュアンスが、まだ強く残っているのかなと思います。ただ、これだけ人材不足が叫ばれる状況では、候補者の方が会社を見極める時間だという側面が、非常に強いはずです。
給与や評価制度のような聞きづらいことは、ご遠慮されるパターンが多いと思います。でも、その辺りは資料にも載せていますし、何なら全部聞いていただきたい。ご納得いただいたうえで入社いただくほうが、ミスマッチの話と同じで、双方にとって絶対に良いと思うんです。
正直に申し上げれば、まだ建てついていないところもあります。その辺りも正直にお伝えしますし、何ならそれを一緒に作っていきましょうという方とご一緒できたらと思っています。ですから、気になることは何でも聞いてください。
うまく話す練習より、棚卸しを
これから応募する方へ、メッセージをお願いします。
選考において重要視しているのは、本当にマッチングです。
お互いが正直に、等身大で話す。そこから良いマッチングが生まれていくことが、いちばん大事だと思っています。当社としては、見ている観点も、弱みも、かなり開示しているつもりです。
ですので、面接に来られる方も、うまく話すことはまったく考えていただかなくて大丈夫です。うまく話す練習をするよりも、ご自身が何をしてきたのかの棚卸しを、ぜひしていただければと思います。
当社も弱いところをお見せしていますから、候補者の方にも、これまでの失敗談のようなところをぜひ開示していただきたい。お互いの価値観がわかって、納得した状態で入社していただきたいと思っています。そんな気持ちで、気軽にカジュアル面談に進んでいただけたらうれしいです。
最後に1つだけ。当社は「挑戦保障」という言葉を掲げていますが、挑戦する人の隣にいる会社でありたいと考えています。そして、そんな会社で働く従業員こそ、最も挑戦していないといけないとも思うんです。入っていただく方にはぜひ挑戦していただきたいですし、挑戦してくれる従業員を支えられる会社でいなければいけない。ここは、人事である私の職責だと思っています。
挑戦する人を支える会社でもあり、挑戦する従業員を支える会社でもありたい。そういう気持ちを持っている方とは、ぜひ一度お話ししたいと思っています。
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記事で触れた選考の観点や、まだ整っていない部分についても、その場で率直にお話しします。
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